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この間テレビでやっていたミッ○ョン・イン○ッシブルIIIを観た印象を快新で。

印象と言いつつ映画ほとんど関係ないですが、ほんの少しだけネタばれあるのでご注意を。

※なぜか甘くなりました。
二人が揃うとイチャイチャしかしません。


つづきからどうぞ。















午後9時からテレビで放映されている映画を食い入るように見ている恋人に、はてと首を傾げた。
流れているのはシリーズ化されている大人気スパイアクション映画の第3作目で、過去にもう何度かテレビで放送されているのを観たことがある。画面にじっと目を凝らしている恋人も、以前観たことがあると言っていたから、さきほど夕飯を一緒にとりながら、ネタばれを気にすることなく喋っていたはずだ。

それなのに、何故これほどまでに真剣な表情で観ているのだろう。
今もソファのすぐ背後に自分が近づいたというのに、気づいた様子もない。

何だか少し面白くなくて、一度キッチンに戻り、恋人のためにコーヒーを淹れる。

カップを二つ持ってリビングに戻ると、画面はCMに切り替わっていた。

「はい、コーヒー淹れたよ」
「ん。サンキュ」

隣に腰掛けながら渡せば、カップを受け取ってはくれたものの、相変わらず視線はテレビに釘づけだ。まだCMの最中だというのに一体どういうわけかと恋人の目をよくよく見てみると、どうやら視線はテレビに向けられたまま、何やら考え事をしているようだった。
その様子からするに、コーヒーの味も碌にわかっていないだろう。

「新ちゃん。なーに難しい顔してるの」

CMが終わる前に、快斗は尋ねてみた。

「うーん……」
「新一ぃ?」
「むむむ……」

しかし新一は唸ってばかりだったので、諦めて再び始まった映画に目を向けた。



しばらくして二人のカップが空になると、快斗は映画の途中でコーヒーを淹れなおしにいこうと立ち上がろうとした。どうせストーリーは知っているのだし。

しかし、その瞬間服が引っ張られる感覚がして振り返ると、新一が相変わらず視線は画面に向けられたまま、快斗の服の裾を掴んでいた。
その頬が少し赤いのにクスリと笑い、快斗は大人しくソファに座りなおした。
裾から離された手を掬い取り、ゆるく指を絡める。
微かに握り返された感触がして、快斗は溢れ出る愛しさに笑みを浮かべた。




「――で? 結局何だったのさ」

映画が終わった後、伸びをする新一に、再度問いかけてみる。
すると新一は、ああ、と一人納得したような顔で頷いた。

「いや、アレさ、快斗ならリアルでできるかなって」
「アレ?」
「あの、スパイアクション」
「へ?」

言われて、映画の中でト○・○ルーズが演じていた数々のスパイアクションを思い出す。警備の厳しいバチカンに侵入したり、他人に変装したり、ワイヤーだけでビルからビルへ飛び移ったり、ビル風吹き荒ぶ街中でパラグライダーを操縦したり、敵と体術で応戦したり。

「あー……」

一般人が見たらかなり無茶苦茶なアクションだが、怪盗としては似たりよったりなことをしていた気がする。そう思うと、せっかくのアクションのハラハラドキドキ感も薄れてしまうのだから、そういう意味では二人とも損な経験の持ち主かもしれない。

「それで唸ってたの?」
「ああ。それと、同じ状況でミッションを遂行する場合、俺らならどうするか考えてた。侵入経路とか、ターゲットと入れ替わるタイミングとか、もっとうまくやれんじゃねーかな」
「ははは……」

快斗は乾いた笑いを洩らした。もはや職業病だ。

あのカーチェイスだってもっと手際よく……とかぶつぶつ呟いている恋人に苦笑して、快斗はふとラストのシーンを思い出して言った。

「けど、俺だったら言っちまうなー」
「へ? 何を?」
「最後さ、大事な人を人質にされるじゃん? ブツの場所を吐かせるために」
「ああ」
「俺だったらすぐ吐いちゃうと思うぜ」

――俺にとって新一より大事なものなんてないから。
快斗がそう言うと、新一は呆れたように半眼になった。

「バーロー、吐いたら二人とも即殺されんに決まってんだろーが」
「そこは上手くやるよ」

へらへらと笑うと、新一の目がだんだんと険しくなっていった。

「そういや、前にそんなシチュエーションあったよな……」
「え?」
「キッドのショーの後に、中継地点で待ち伏せしてた組織の奴らに、俺が人質にとられかけて……」
「ああ、そういえば」
「あん時もオメー、あっさり宝石渡しやがって!」
「いや、あれレプリカだったし。それに名探偵、自分であっさり敵倒してたじゃん」
「それはあいつらがたまたま雑魚だったから上手くいっただけで……!」
「新一」

遮るように落とされた声はあくまで穏やかで、新一が顔を上げると、そこには蕩けるような幸福に満ちた表情を浮かべる快斗がいた。

「たとえ何を引き換えにしても、俺は新一を一番に優先するよ」
「ぅ、ぁ……反則だ……」
「愛してる」
「~~~~だぁ、もう。俺だって同じだっ」
「うん。知ってる」

真っ赤になった恋人を抱きこむと、文句を言いながらも大人しく身体を預けてくれる。
今腕の中にいてくれる存在が愛しくて愛しくて、とりあえず雑音を消し去るために、指を一つ鳴らしてテレビのスイッチを切った。




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